谿声山色 14 「 山色谿声にあらざれば 」
- 2021/05/13
- 06:09
正法眼蔵 谿声山色 14
「 山色谿声にあらざれば 」
瑯揶 ro-ya の広照大師慧覚 e-gaku 和尚は
南嶽 nan-gaku の遠孫 en-son なり
あるとき、教家 kyo-ke の講師 子璿 si-sen とふ
「 清浄なるが本然 hon-nen なれば
........云何 i-kan が忽 tatima ち山河大地を生ずるや」
( 瑯揶 ro-ya の
( 広照大師 慧覚和尚は
( 南嶽 nan-gaku 懐譲 e-zyo 禅師 677-744 の法孫です
( ある日、教家(経典を研究する人々) の
( 子璿 si-sen が尋ねます
( 山色谿声の本質が清浄ならば
( どうして山河大地は生じるのでしょう
かくのごとくとふに、和尚しめすにいはく
清浄なるが本然なれば
云何が忽ち山河大地を生ずるや
( このように尋ねられ和尚は答えます
( 山河大地の本質は清浄で
( 目に見えるものは、その影です

ここにしりぬ、清浄本然なる山河大地を
山河大地とあやまるべきにあらず
( ここで分かることは
( 目に見える山河大地の表面と
( 目に見えない山河大地の本質である清浄
( この二つを別々に見ることです
しかあるを経師かつてゆめにもきかざれば
山河大地を山河大地としらざるなり
( このようなことは
( 経典研究者には
( 夢のようなアプローチ法です
( 山河大地の清浄は
( 見るものでなく感じるものだからです
しるべし、山色谿声にあらざれば
拈崋 nen-ge も開演せず
得髄 toku-zui も依位 e-i せざるべし
( 目に見ないけど
( 誰でも感じることが出来る
( この山色谿声、その清浄の功徳
( この功徳が
( 釈尊が迦葉尊者へ花を示し
( 二祖慧可大師が達磨大師を礼拝した
( その場にあったのです
谿声山色の功徳によりて
大地有情同時成道し
見明星悟道する諸仏あるなり
( 目には見ないが
( 心で感じる山色谿声の清浄
( この功徳が、身から離れ
( 己の影・己の記念碑を建てる仏道を助けてくれます
( 諸仏は、明星が朝草に光を注ぐよう
( 地にあるこの身へ、光を注いたのです
.