行 持 下 「 三府の環 」
- 2020/10/15
- 08:14
正法眼蔵 行 持 下
「 三府の環 」
病雀なほ恩を忘れず
三府の環よく報謝あり
窮亀なほ恩をわすれず
余不の印よく報謝あり
かなしむべし、人面ながら
畜類よりも愚劣ならんことは
( 楊宝 yo-ho に助けられた
( その雀は恩を忘れず
( その子孫を三府 san-pu に登らせ
( 恩に報いました
( 孔愉 ko-yu が
( 余不亭 yo-hutei で助けた亀は
( 四度首を左に向けて去り
( その後 孔愉が侯印を作ると
( 印の亀の首が三度鋳直させても
( 三度とも左を向いて恩に報いました
( 悲しむべきことは、人でありながら
( 恩に報いられないことです

中国は後漢の時代(0~200年頃)
慈悲深い楊宝 yo-ho という人がおられた
九歳の頃、華陰山の北で
一羽の黄色の雀が鳶に襲われ
傷つき苦しんでいるのを見つけます
哀れな雀を見た楊宝は
そっと拾い上げ、持ち帰ります
箱の中に入れ菜の花などを与えていると
雀は次第に元気になっていきます
百日あまりたつと、抜けた羽毛も生え
飛べるよう回復します
朝、箱から出してやると夕方には戻って来ます
そして幾年にわたり、家族のように暮らしました
ある日多くの雀がやってきて
悲しい泣き声をあげ家の周りを飛び交います
そして数日して飛び去って行きました
その雀が死んで
多くの雀がその死を悼んでいたのです
それから、ある晩のこと
楊宝 yo-ho のもとに
黄色の童子が訪れます
「 私は、仙女の使者をしているものです
蓬莱 ho-rai に生まれ、ここへ参りました
私の前世は、あなたに助けられ
恩愛養育を受けた、あの雀です
これを、お礼のしるしとしてお受け取り下さい。 」
そう言って
白玉の環を四個
楊宝 yo-ho へ献上しました
「 あなたの子孫は清廉潔白で
この白玉のようになるでしょう
四代にわたって三公
(太政大臣・左大臣・右大臣)
の位に登られるでしょう 」
そう言って立ち去ります
果たして、子の楊震
孫の楊秉、曾孫の楊賜、玄孫の楊彪
四代に渡り、三公の位に登ります
そして皆、徳の高い人物であったと

( このような童話と
( 面壁坐禅はどこで繋がるのでしょう
( 多忙や行き違いから期せずして
( 心が荒れる時が多々あります
( そのような時
( 哀れな雀を目にしても
( その苦しみを感じ憐れむ心は
( 起きようがないなぁ ・・ 、です
( 日常において何気ない事に気付き
( ドアを開ける、お醤油をとってあげる
( 椅子を直す、感謝の言葉を届ける
( 心が荒れてると、何気ない事が出来ません

( 3 D 座標系の六本の矢
( それを座標の中心へ向ける
( 「 的を射てから矢を放つ 」
( これを訓戒として、頭部手足を軽くして
( 座標中心、身体の中心を温かく保つ
( この資本?があってこそ
( 何気ない事が何気に出来るように感じます

( いつも面壁坐禅を標準として歩む
( この道元禅師の教えは
( 一見、何のことやらです
( でも日常に立ち返ってみると
( 自分の身近な方が
( いつも手足が軽く
( 心身ともに中心が温かく
( 些細な事にも、何気に気づかってくれる
( そうだとしたら、それってとんでもない事です

( そんな方と一緒に暮らすのと
( その逆キャラ?
( [ 手足頭が重く、心身の中心が冷たい ? ]
( そんな感じの人と暮らすのでは
( 日常がまったく違ってくる感じがします
( 温かい中心を保って生きてく
( 面壁坐禅の実際って自分の事してるようで
( 周りの人にも大事な事
( 育んでるのかも知れません
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