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行 持  下  「 道 器 」



正法眼蔵 行 持  下
 「 道 器 」

をしむべき人身なり
道器となりぬべきゆえに
いま正法にあふ
百千恒沙 go-sya の身命をすてても
正法を参学すべし

 ( この身体を得た
 ( ということは尊いことです
 ( 仏道の器、すなわち
 ( 閉じ込められたものを
 ( 解放する場にもなりうるからです
 ( そして今、かず多くの
 ( 輪廻転生の中にあって
 ( それを実現出来る方法
 ( 面壁坐禅の法に出会ったのです


今日は正法眼蔵を離れて
ワーグナーの作品でした





........『 パルジファル 』  ( 全3幕 )


20201009SS00004.png


スペイン北部のモンサルヴァート
時は中世
モンサルヴァートの城主 ティトゥレル王は
ある夜、天使の言葉を聞きます
「 聖盃(Sei-hai) と 聖槍(Sei-so) を 守護するように 」 

聖盃は、キリスト・イエスが
最後の晩餐でぶどう酒を飲んだ盃であり
十字架上で傷口から流れ出る血を受けた盃です
聖槍は、その時キリスト・イエスの脇腹を刺した槍です
ティトゥレル王は、その言葉に従い、城の中に聖堂をつくります
そして、若い騎士たちから成る
聖盃の騎士団が二つの宝を守る事になります
ある時、ティトゥレル王のもとにアラビアの異教徒クリングゾルが訪れ
聖盃の騎士団へ入る事を希望します
ティトゥレル王は彼の誠心を疑いその申し出を退けますが
彼の心中には復讐心が芽生えます
彼は魔法を使い、荒野に快楽の花園を作り
妖艶な美女を配置します
聖盃の騎士たちは、次々と陥落して行きます

そして、年老いたティトゥレル王の後を
王子アンフォルタスが継承します
若く新しい王アンフォルタスは
魔術師クリングゾルの征伐へ赴きますが
クリングゾルがさしむけた謎の美女に誘惑され
聖槍を奪い取られたうえ
その聖槍で脇腹に傷を負ってしまいます
それ以来、アンフォルタス王の傷口は癒えず
日夜その苦痛に苛まれます
そのようなアンフォルタス王に、ある日、神託が下ります
「 同情(共苦)によって叡智に至る
      神に選ばれた純粋な愚か者を待つように 」
その者が聖盃の城に救いをもたらすと



第一幕
スペイン北部の聖盃の城モンサルヴァート近くの森の中
起床ラッパの響きで、聖盃の老騎士グルネマンツが目を覚まします
そばで寝ている二人の若い騎士を起こし、共に朝の祈りを捧げます
そこへモンサルヴァート城から2人の騎士がやって来ます
グルネマンツは彼らにアンフォルタス王の容態を聞きます
二人が答えます。王の傷口の痛みは
ひどくなる一方で、一睡も出来ません
それゆえアンフォルタス王は
湖で身体を清めたいと望まれています
聖盃の老騎士グルネマンツは、
二人の若い騎士に水浴の準備をするよう命じます
この時、勢いよく一人の女性が馬に乗ってやって来ます
妖女クンドリーです
彼女は騎士団に献身的に仕えていますが
誰もその素姓は知りません
妖女クンドリーはグルネマンツに近づき
アンフォルタス王の傷を癒すため
アラビアからとってきたという
バルザムという鎮痛香油を渡します
よほど疲れたのか、地に倒れ伏します
やがて小姓たちと騎士たちの行列が
担架を手にして現れます
その担架にはアンフォルタス王が身を横たえています
神託によれば
「 同情 ( 共苦 ) によって叡智に至る
    神に選ばれた純粋な愚か者 」が現れれば
アンフォルタス王の傷は快癒するが
そのような者は現れ出てこないため
王はその傷の痛みにいつまでも苦み続けなければならない
グルネマンツはクンドリーが持って来た鎮痛香油を王に渡します
王は、地面に伏したままのクンドリーに礼を述べられます
「 お礼の言葉よりも、早くご水浴をなされて下さい 」
このクンドリーの言葉に促され
王の一行は、水浴のため湖の方に向かって去って行きます
クンドリーはそこに残った小姓たちから
 「 災いをもたらす妖女 」 と罵られます
グルネマンツは彼女が
聖盃の騎士団に献身的に奉仕していることを説明して
彼女を擁護します。 しかし、グルネマンツは
クンドリーが不在のときに災いが降りかかるとい
う因果を否定出来ません
そこでグルネマンツは
聖槍が奪われた経緯を沈痛な思いで語りだします
「 この聖盃城の災いを救うのは
     同情 ( 共苦 ) によって叡智に至る純粋な愚か者 」
グルネマンツがこう語り終えたところで
湖の方から騎士たちや小姓たちの叫び声が聞こえて来ます
まもなく、矢を射られた白鳥が飛んで来て、力つき地面に落ちます
そして騎士たちや小姓たちがやって来たあとに
一人の若者パルジファルが引っ立てられて登場します

グルネマンツがこの聖域では
狩りは禁じられていることを若者に教え諭します
パルジファルは傷ついた白鳥に憐れみを感じ
自分の持っていた弓を投げ捨てます
グルネマンツは小姓たちを去らせ、若者に素姓と名前を尋ねます
パルジファルは答えることが出来ません
パルジファルが覚えているのは
ヘルツェライデ ( 心の苦しみ )という名の母がいて
森の中で暮らし、弓を自分で作って
それで荒鷲を森から追い払ったということだけでした
これ聞いて、各地を彷徨い多くを知
クンドリーは叫ぶように語りかけます
それによると、母親はヘルツェライデと言い
夫ガムレットが戦死したあと
生まれてきた息子には
父のように勇士となって早死にすることはないように
武器をいっさい遠ざけ、人のいない荒野の中で
愚か者になるよう育てたと
これを聞いたパルジファルは思い出します
ある時、森の脇を見事な馬に乗って
立派な人たちが通り過ぎて行くのを見て
自分もあのようになりたいと思い
あとを追いかけて行ったが追いつけなかったこと
そして荒れ地や山や谷を通ってここまで辿り着いたと語ります
グルネマンツは、さぞかし母親は
今頃悲しんでいることだろうと諭しますが
そのとき見聞の広い妖女クンドリーが
若者の母親が死んだことを伝えます
パルジファルは激昂してクンドリーに飛び掛かり
喉を締め付けようとしますが
グルネマンツがそれを引き離します。
クンドリーは角杯に水を汲んできて若者に飲ませると
森の中へ去って行きます
そのとき湖の方から人々が近づいて来る気配がし
やがて騎士たちと小姓たちが
水浴を終えたアンフォルタス王を担架に乗せて戻って来ます
グルネマンツはこれまでの若者の話から
この若者こそ神託の
「 同情 ( 共苦 ) によって叡智に至る、神に選ばれた純粋な愚か者 」
ではないかと感じ、彼を城の聖堂で行われる愛餐の食卓に招きます
グルネマンツは若者を伴って森の中を通り、岩壁の間を通り抜け
聖盃の城にある聖堂に向かいます
城に近づいたところで、パルジファルが 
「 さほど歩いてないのに、遠くへ来たような気がします 」 と述べます
グルネマンツが答えます
「 ここでは時間が空間になります 」。。。。。。。。。。。。。。。。。。(第一幕 62行目 )
二人が聖堂に入ると、ファンファーレが聞こえ、鐘の音が高らかに響きます
聖盃の騎士たちが入場し、愛餐の食卓に並びます。
反対側から担架に乗せられたアンフォルタス王が入場されます
アンフォルタス王の前には四人の小姓が先行していて
覆いをかけられた聖盃が運ばれています
覆いをかけられた聖盃が食卓の上に置かれ、準備が整うと

背後から、「 勤めを果たすように 」 という
先代王ティトゥレルの声が聞こえてきます
「 聖盃を開くように 」 先代王ティトゥレルの言葉に対し
アンフォルタス王は、それを拒み
罪深い身で儀式を行う苦しみを訴えます
儀式において聖盃が燦然(さんぜん)と力強く灼熱してくると
自分の傷口からは、ただ罪深い熱い血潮が
湧き出てくるばかりだと訴えます
最後には、アンフォルタス王は慈悲深い神に向かって
父から継承した勤めを免じていただき
傷を塞いで、清らかに死なせてほしい
汚れなき身を御前に蘇らせてほしいと懇願します
しかしその願いは聞き入れられません
「 同情 ( 共苦 ) によって叡智に至る
  神に選ばれた純粋な愚か者 」 が現れ
アンフォルタス王の傷は
快癒するという神託があったからです
背後から聞こえてくる老王の命令によって
聖盃の覆いが外されます
その中から水晶の盃が現れ
上方から目もくらむような光りが射してきて
聖堂内を照らし出します
すると最後の晩餐でキリスト・イエスが述べられた
「 わが血を受けよ、我らの愛のために 」 という言葉が
高みから聞こえて来ます。
そして祈りが捧げられてから、愛餐が始まりました
老騎士グルネマンツは自分の隣席を空けていて
パルジファルにその席に着くよう合図しますが
若者はただ硬直したまま何も言えず
傍らに佇んだままです
聖盃の騎士たちが 「 パンを取れ  」 と歌い
「 ぶどう酒を生命の血に変えよ 」 と歌います
しかし、アンフォルタス王は、ただ頭をうなだれて
片手を傷口にあてたままです
傷口からは新たに血が湧き出していたのです
やがて儀式が終わり
一同はアンフォルタス王を担架に乗せて
聖堂から出て行きます
無言でそこに立ち尽くしている若者を見て
老騎士グルネマンツは怒りを示し
ただの愚か者だと罵り、好きなところへ行くよう追い出します
そのとき高いところから
「 同情 ( 共苦 ) によって叡智に至る
神に選ばれた純粋な愚か者 」という神託が聞こえて来ます
そして「信仰に幸あれ」と合唱が聞こえて来ます





第二幕

ここは、妖術師クリングゾルの魔法の城です
クリングゾルは鏡の前にすわって、愚か者 パルジファル が
こちらに近づいて来る様子を窺っています
そして彼は呪文によってクンドリーを呼び出し、魔法をかけます
クンドリーに向かって愚か者パルジファルを、かつて彼女が
アンフォルタス王にしたと同じように誘惑するようにと命じます
彼女は最初は拒み続けますが
結局クリングゾルの言いなりになります
鏡には、愚かな若者がこの城の兵士たちを
薙ぎ倒すさまが写し出されています
クンドリーは叫び声を上げ姿を消します
クリングゾルは力ではなく、
色力で愚かな若者を陥落させようと
塔もろともに地の中に沈みます
そこに百花繚乱の花園が現れ
花の乙女たちが次から次へと現れ
自分の恋人が薙ぎ倒されたことを嘆き
パルジファルを取り囲んで
彼の行為を咎めてから、やがて若者を誘惑し始めます
若者が花の乙女たちを退けて逃げ出そうとしたとき
「 パルジファル、お待ちなさい 」 という声が聞こえてきます
クンドリーの声です。その声を聞くと
花の乙女たちは若者から離れ
城の方に引き上げて行きました
パルジファルはクンドリーの声で
かつて母が自分のことをそ
のように呼んでいたことを思い出します
絶世の美女に変身したクンドリーが姿を現すと
彼女は若者の母親 ヘルツェライデ が
まだお腹にいる息子のことを
「 ファル 」( 愚か )で「 パルジ 」( 純粋 )だから「 パルジファル 」
と呼んだので父親ガムレットがアラビアで亡くなる前
そのように名付けたのだと話します
そしてその名前を教えようと思って
自分はあなたをここで待っていたと述べます
そしてクンドリーは、母親がどれほど愛情こめて
息子パルジファルを養育したかについて
こと細かに話してます
特に毎朝、息子の目を覚まさせたのは
母親の熱い涙のつゆだったと伝えます
そして息子がいなくなったので、母親ヘルツェライデは
 「 悩み 」( ライデ )が 「 心臓 」( ヘルツ )を破って死んだと伝えます
自分が離れて行ったことで母親が悲しみ、死んでしまったことを知って
パルジファルは、深い自責の念に目覚め、自分の愚かさを後悔します


今こそよい機会だととらえたクンドリーが
パルジファルに語りかけます
後悔をすれば、罪は後悔となって消えるもの
だから愛を知るがいいわ
お母さんヘルツェライデの熱情が
火のようにお父さんガムレットに注がれたとき
お父さんを包んでいたものが愛なのよ、と語りかけます
自分の唇をパルジファルの口もとに押しつけて
長い接吻をします
するとパルジファルの態度は一変します
クンドリーの接吻によって
パルジファルの身に突然恐ろしい変化が起こります
その口から激しい苦痛の叫び声が出て来たのです
「 アンフォルタス王!あの傷が私の心の中で燃えている
   あの嘆き声!あの嘆き声が私の心の奥底で叫んでいる 」
この瞬間に、愚かだったパルジファルの心に
アンフォルタス王の苦悩が蘇ります
これまで愚か者で
臆病者の自分は腕白なことばかりしてきたが
この罪をどのようにしたら償えるだろうと
思い始めます
彼は無知な少年から苦悩を知る大人へと変貌を遂げます
このように目覚めたパルジファルに向かってクンドリーは
彼に身を傾けて、愛撫のしぐさで誘惑しようとします
そのときパルジファルは彼女の声を聞いて
この目の前にいるクンドリーこそが
アンフォルタス王を誘惑した
謎の美女であったことを悟ります
クンドリーはずっと以前に
十字架上のキリストを嘲笑ったため呪いを受けて
永遠に苦しみ続けなければならなくなった
自分の身の上を語ります
パルジファルに
「 抱かれて罪をあがない、救ってもらいたい」
救済を求めます
しかしパルジファルは
そのような事で救われることはないと言い拒みます
クンドリーはアンフォルタス王のもとに行く道を教えてあげるから
自分にも同情(共苦)を示して欲しいと訴え
パルジファルを抱擁しようとします
パルジファルはさらに拒み
ここを立ち去るようにと命じます
これにクンドリーは激しく怒り狂い
加勢を求めながら、ついには
世界中のすべての道に「 迷い 」 の呪いをかけようとします
そのとき老騎士グルネマンツが城壁の上に現れ
「そこを動くな」と言いながら聖槍を
パルジファルに向かって投げます
聖槍はパルジファルの頭上まで飛んで来ると、
宙に浮かんで止まります
パルジファルはその聖槍を片手で掴み
頭上にかざし十字の印を切ります


するとまるで地震が起こったかのように
クリングゾルの魔法の城は陥没し
花園はたちまち荒野に変わり
しぼんだ花が散乱するばかりとなり
クンドリーは悲鳴をあげ倒れ伏します

第三幕

第三幕の舞台は聖盃の城の領域です
背景に花の咲く野原が広がる打ち開けた地形で
前方は森の縁へりになってます
前景右手には泉に向き合ったところに
隠者小屋が見えます
夜が明けたばかりのすがすがしい聖金曜日の朝です
グルネマンツはいよいよ老齢に達し
老人となり、隠遁者としてそこで暮らしています
藪の中で妙な呻き声が聞こえてくるので
グルネマンツはそこに近づいてみると、
ンドリーが硬直しているのを見つけます
身体をもみほぐしてやると、彼女は目を覚まします
彼女の顔色は青ざめてますが
容貌や態度からは粗野な態度が消えています
彼女は立ち上がって
服や髪を整えると奉仕する態度を見せます
しかし、今はもう使いに出てもらう用もありません
クンドリーが隠者小屋に入って行くのを見て
彼女の歩き方が以前とは
随分違っているのを認めたグルネマンツは
「 これも今日が聖金曜日であるおかげなのか」
と言いながら
彼女を目覚めさせたのが
彼女の救いになったことを喜びます
クンドリーが隠者小屋の中から
水瓶を持って泉の方に向かうと
一人の男がこちらに向かって
近づいて来るのが見えました
やがて森の中から
黒ずくめの武装をした男が姿を現します
聖盃の騎士ではありません
彼は兜の面を閉ざして
手には槍を持っています
男が兜を取ると
かつてグルネマンツが追い出した
あの愚かな男であり
男が持っている槍は聖槍であることが
グルネマンツに明らかとなります
グルネマンツは大いに感動し
生きて拝むことのできる
今日の聖金曜日に感謝の念を捧げます
パルジファルも
グルネマンツに再会できたことを心から喜び
これまで迷いと悩みのいろいろな道を辿り
この森にやって来た次第を語り
聖盃の城から消えた聖槍を
今ここに持って来たことを伝えます

グルネマンツはこの上ない歓びの表情を見せて
奇蹟を称え、聖盃の騎士たちがパルジファルを待っていること
パルジファルの救いが必要であることを伝えながら
聖盃の城の現状を話します
それによると、アンフォルタス王は相
変わらず死を求めて聖務を行わないので
聖盃の騎士たちはすっかり衰え
先代のティトゥレル王も崩御されたと
これを聞いてパルジファルは
この災いを招いたのは自分の責任だと嘆きます
その罪の深さを思い知り
気が遠くなって、倒れそうになります
グルネマンツはパルジファルの身を支えて
彼を泉のほとりへと連れて行きます
グルネマンツは
「 この人が今日のうちに気高いわざを果たすだろう 」
と予感します
クンドリーは、パルジファルのすねあてをはずして
懸命に彼の両足を洗います
またグルネマンツは
彼の胸鎧をはずしてやって、泉から水をすくって
それを彼の頭にふりかけました
その間にクンドリーは胸もとから小瓶を取り出し
その中身をパルジファルの両足に注ぎかけます
するとパルジファルは、
頭の方には亡きティトゥレル王の朋友である
グルネマンツによって注いでもらいたいと
その小瓶をクンドリーから受け取って
グルネマンツに渡します
グルネマンツは小瓶の中身をすべて頭にふりかけると
パルジファルを聖盃の城の王として迎えることを宣言し
パルジファルを
「 純粋で、共に悩む御心の深い忍苦の人 」であり
また
「 他人を救う御心豊かな人 」と述べて
アンフォルタス王の最後の重み 
(聖盃王としての王冠) を受け継ぐよう
懇願します
一方、パルジファルも泉から水を汲んで
自分の前にひざまずいているクンドリーに身を傾け
水でもって彼女の頭をうるおします
これがパルジファルの聖盃王としての「 最初の勤め 」 であり
「 この洗礼を受けて、救世主を信じるように 」と言うと
クンドリーは初めて激しく泣きました
パルジファルは今日のこの日
野がたいへん美しく見えることに感嘆します
グルネマンツは
「これぞ聖金曜日の奇蹟である」と述べます
パルジファルがクンドリーの額に口づけするうちに、正午となります
グルネマンツは聖盃の騎士の外套をパルジファルに着せて
パルジファルをクンドリーとともに聖堂へと案内して行きます



舞台は聖盃の城の中にある聖堂に変わります
聖堂には聖盃の騎士たちの
先代王ティトゥレルの遺骸を入れた棺を運ぶ列と
アンフォルタス王を担架に乗せて運ぶ列に分れ
左右から入って来ます
後者の列の先頭には覆いをかけられた厨子が運ばれており
その中には聖盃が納められています
聖盃の騎士たちは先代王ティトゥレルの死を悼み
アンフォルタス王に最後の勤めを果たすよう請い願います
アンフォルタス王は今もなお、死を望むばかりだからです
「 死こそ自分の罪の最も寛容な償い 」と言うのです
先代王の棺が開かれると
一同は激しい悲嘆の叫び声をあげます
アンフォルタス王は、父の死を悼みながら
救世主の聖なる血の輝きにより
聖盃の騎士たちには新しい生命が恵まれ
自分にはこれを限りに死を恵んでくれるようにと祈ります
聖盃の騎士たちは
アンフォルタス王に厨子を開くようにと請い願いますが
アンフォルタス王は絶望のあまり逆上して
騎士たちの間に身を投げ出し、それを拒みます
ますます狂乱状態となって、彼は衣服の胸もとをひろげ
傷口を見せ、ここに剣を突き刺すよう迫ります
この罪人を苦悩もろとも突き殺してくれれば
聖盃がみなに向かって自ずと光り輝くであろう、と述べます
騎士たちはアンフォルタス王の気迫にのまれ
後ずさりするのみです
そこへパルジファルが
グルネマンツとクンドリーに伴われて姿を現します
アンフォルタス王の前に進み出て、聖槍を突き出し
「 傷口を塞ぐのは、その傷を負わせたこの聖槍のみ 」
と述べて、その穂先を王の脇腹の傷口にあてます
すると傷はたちまち癒えて
アンフォルタス王の容貌は神聖な歓喜の色に輝きます
深い感動のあまり、王はよろめくほどで
それをグルネマンツが支えます
パルジファルは続いて、アンフォルタス王に代わって
自分がその勤めを果たすことを宣言し
同情(共苦)の最高の力と至純な知の力が
臆病で愚か者だった自分に
王の苦しみを共にさせたことを打ち明け
聖槍を高くかかげながら
「 この聖槍を皆のもとに持ち帰った 」と報告します
一同は歓喜に包まれながら
その高く掲げられた聖槍を仰ぎ見ます
その聖槍からは、聖なる血が流れ出て
聖盃へと流れていく光景が見えます
このときパルジファルは
聖盃の覆いを取り、厨子を開くようにと命じます
パルジファルがその厨子の中から聖盃を取り出し、黙祷すると
聖盃はやわらかい輝きを増してゆきます
聖盃の輝きは頂点に達し
パルジファルの頭上には鳩が舞い降ります
クンドリーはパルジファルを見上げながら救済されて
彼の前に倒れ伏します
アンフォルタス王とグルネマンツは
パルジファルの前にうやうやしくひざまずきます
パルジファルは
祈りを捧げる騎士たちの頭上に聖盃をかざし
祝福を続けているところで、第三幕の幕が降ります





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佐々木正巳

Author:佐々木正巳
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090-7325-5711 佐々木正巳 まで










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