行 持 「 礫 reki のほとばしりて 」
- 2020/08/21
- 08:01
行 持 「 礫 reki のほとばしりて 」
香厳 kyo-gen の智閑禅師は
大潙 dai-i に耕道せしとき
一句を道得せんとするに
数番つひに道不得なり
( 香厳寺の智閑禅師( ~898) が
( 潙山霊祐 izan-reiyu 禅師 (771~853) に
( 師事なされていた時
( 一句で、道を述べようと試みました
( でも、考えがまとまらず
( 一句で表わす事が出来ませんでした

これをかなしみて
書籍を火にやきて
行粥飯僧となりて、年月を経歴しき
( 香厳禅師はこれを悲しみ
( 持てる書物を焼きました。そして
( 粥飯 syuku-han を世話する僧となり
( 月日を送ります

のちに武当山にいりて
大証の旧跡をたづねて
結草為庵し、放下幽棲す
( その後、武当山におもむき
( 南陽慧忠禅師 675~775 ( 大証国師 )
( の旧跡を訪ねます
( ここに草庵を建て
( 静かに静謐行持を続けられます

一日わづかに道路を併浄するに
礫 reki のほとばしりて
竹にあたりて声をなすによりて
忽然として悟道す
( ある日、いつものように
( 路の掃き掃除をなされていました
( 小石が箒に飛ばされ
( 近くの竹に当たります
( その音を聞き
( 香厳禅師は道を得ます

( 静寂から
( 前触れなく、突然ともいえ
( 一瞬の音があらわれ
( 思いでなぞる暇もなく
( 静謐へと消え去りました
( 箒を振るった、自分の行為が
( 「 知 」 しえないカルマとなって
( 自分へ帰って来ました

( ああだ、こうだと
( 一句で表わす事が出来なかった
( 潙山禅師のもとにいた時の体験は
( 香厳禅師に大きな悲しみをもたらしました
( これがカルマとなって
( 世界で生起することを
( 指さし、名付けで描いてゆく
( 無意識の習慣から離れてゆきます

( そして長く
( 神妙静謐の坐禅に親しみます
( 心的にも、身的にも
( 内十字のルート( 道 )が形成されます
( そして小石の音を聴かれます
( 天球のカルマ、自分のカルマが
( 色彩、音となって戻って来ます
( 威儀静謐なる
( 内十字のルート( 道 )を通って
( 色彩と音が下りて来ます
( そして名付ける暇もなく
( 静謐へと帰って行きます
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