行 持 「 寒林に倚る 」
- 2020/07/25
- 07:50
行 持 65 )
この僧、あやしむこころあり
かへりて塩官に挙似するに
塩官いはく
そのかみ江西にありしとき
一僧を曾見す
それよりのち消息をしらず
莫是此僧否
( この僧には
( 法常禅師の事が
( 不思議に思われました
( 塩官に帰ってから
( 斉安国師に報告しました
( 馬祖道一禅師の下にいた時
( ある僧に会ったことがあります
( あの僧ではないだろうか
( 斉安国師が述べられました

つひに僧に命じて
師を請するに、出山せず
偈をつくりて答するにいはく
摧残 saizan せる枯木、寒林に倚る
幾度か春に逢うて心を変ぜず
樵客、之に遇うて猶顧みず
郢人、なんぞねんごろに追尋することを得ん
つひにおもむかず
( そこで斉安国師は
( 遣いをだして法常禅師を招聘します
( しかし、法常禅師は山を下りず
( 詩をもって答えます
( 切り残された枯木が
( 寒林の中に立っています
( いくたび春が巡って来ても
( 枯木が蘇ることはありません
( 樵も目にとめません
( そんな枯木の消息を
( 誰が尋ねる事が出来ましょう
( 法常禅師はその招きに応じませんでした
.